うつ病の文化

 
2020年10月26日号
於保真理子 先生


 
人はどのような環境に住んでいようとも、自分の内なる文化を自分で選択して決めています。つまり、その内なる文化を無意識に自分の価値基準にして生きているといえます。自分の価値の基準をどこに設定するかが自分にとっての文化といえます。
 
では、どのような文化を内なる文化として選択してしまうとうつ病になるのでしょうか。 ずばり、人からの評価(友人、知人、家族、親族、職場、学校からの評価)を価値基準にすると、うつ病になってしまいます。
人からどう評価されるかが自分の絶対的な価値であり、人から評価されたら素晴らしい自分、人から評価されなかったらダメな自分という文化を選択し続ける生き方です。

こう表現すると、なるほどなと理解できますが、実はこれが無意識レベルで自分に染み付いており、自分がそういう文化に生きているとは、なかなか明確に認識しづらいのです。
 
この文化に生きていると話している時、無意識に人に気を使っている。
出かける時、洋服がなかなか決められない。レストランでメニューが決められない。高いところが怖い。電車に乗るのが閉じ込められる感じがして怖い。などの症状から、人の目が怖い。人に会うのが怖い。これが高じて学校に行くのが怖い。会社に行くのが怖い。となり、鬱状態になってしまうのです。

うつ病になって初めて、実は自分がそういう文化で生きていたのだと認めざるをえなくなります。
 
 
これが、院長於保先生の言う【村の文化(世間体文化)】であり、三大特徴は、
1.  人の顔色を見て自分の本音は押し殺す 
2.  人の評価で自分の価値が決まると言う自己認識を持つ。だから村八分を恐れる。長い物には巻かれろとなる。そして出る杭は打たれるから出すぎない。
3.  自分に対しても完璧にできない自分はだめな自分だと言う認識を持つ。
四文字熟語で(滅私奉公)の生き方になる。
一言でいうと自分自身に生きていないわけであり、自己の尊厳性の確立など到底できないわけです。
 

私は、うつ病の患者さんが、自己の尊厳性が確立したときに病気は完治すると心から確信しています。実はうつ病を治すと言う事は、自分の内なる文化を変え、自己の尊厳性を確立する戦いでもあるのです。
では、自己の尊厳性を確立する内なる文化とは、於保先生の言う【海の文化(自主、自立、自己決定、自己責任の文化)】です。
 

三大特徴は、
1.  本音で生きる 
2.  人の評価で自分の価値は決まらないという自己認識を持つ。
だから出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない。出過ぎた杭になろうと積極的に思う。
3.  失敗は自分の生命の基盤を強くする、自分が大きくなる良いことだと言う認識を持つ。
四文字熟語で<自体顕照>の生き方です。
 
 
病気を治して良くなろうという時、自分の内なる文化を変えていくのだという意識も非常に重要です。その練習が自分の病気を治し、自分の内なる文化を変えると同時に、実は、我が家の家族の文化も変え、ひいては地域の文化、一つの国の文化をも変えてゆくという壮大な広がりを持つ意味があると思うと非常に楽しく愉快になってきます。
 
最後に参考になるとても面白い動画をご紹介します。
患者さんが、「これは真理子先生の言っていることだと思い録画してきました」とわざわざ私にDVDを渡してくださった動画です。
【市川猿之助がコロナ禍で若者たちに伝えたい授業!】
 
一人一人が、自分の人生、自分自身に生ききって、悔いのない人生を送りましょう。
 

於保真理子

 


 
*動画は期限を過ぎ、すでに削除されているため、関連記事をご紹介します。
【市川猿之助がコロナ禍で若者に熱血授業!"】 (クリック!)