初めての人に説明する 【自分関係】〜前編・後編〜

 
オボクリニック院長 於保哲外 先生

 
この文章は予防医学・代替医療振興協会(理事長 神津健一先生 ナチュラルクリニック代々木会長) の機関紙に掲載される予定のもので、掲載の前に了解を得て、皆様にお伝えいたします。
ナチュラルクリニックでは、予防医学や栄養療法の普及活動に尽力され、オボクリニックとも連携をとって治療に当たっています。
どうぞ皆様、オボクリニックの広がる世界をお楽しみください。
 
 


 
初めての人に説明する 【自分関係】
 
 
 
アメリカ人に自分に点数をつけると何点ですかと聞くと90点、120点と答えるそうです。
一方、日本人に聞くと30点、40点と答えます。
アメリカ人は生まれた時から事あるごとにアイラブユー、アイラブユーと言われながら育つので、存在するだけで価値があると思え、自己評価が高くなるのでしょう。一方、日本人は人の役にたっていないと、何か良いことをしていないと、またがんばっていないと自分には価値がないという価値観の中で育ちます。その結果が低い点数の自己評価になるのです。

その究極が、“働かざる者食うべからず”という自分を追いつめていく考え方です。これは日本人の自殺率の高さの一因ではないかと思われます。

毎日の診療の中で、患者さんに、「自分のことは好きですか?」と聞いてみると、「自分は嫌い。大嫌い」という人がほとんどです。自分のことを大好きという患者さんには会ったことがありません。「どうして嫌いなんですか?」と聞いてみると、嫌いな理由をそれはそれはスラスラと無尽蔵に挙げてくれます。 

全般に、日本人には自己評価が低い人が多いのですが、精神科の患者さんにはとくに多いという印象があります。

そこで、「自己評価が低いことが心の病に関係があるとしたら、自己評価を高めれば病気の治療や予防につながるのではないか?」
これが私の「自分関係」の治療の始まりとなりました。

1人の人間の中には、「大人の自分」と「子どもの自分」という二人の自分がいます。この関係を「自分関係」と呼んでいます。
「大人の自分」とは、規律や秩序を重んじ、世間体を考え、社会の中でどうすれば他者との摩擦がなく行動していけるかを判断する自分のことです。つまり「建て前の自分」また、いろいろ考える「思考、理性、責任」を担う自分です。 
 
いっぽう、「子どもの自分」は、いわば「本音の自分」です。好き嫌いや甘え、わがまま、ふざけ、遊び、好奇心などでいっぱいの、ありのままの欲求や感情そのままの自分です。インナーチャイルド、自分の中にある幼児性という考え方に近いものです。

すべての人間は、こうしたホンネの自分とタテマエの自分の二つの要素を持っています。幼児でない限り、世間の中でホンネの部分だけで生きている人間はいないし、逆にタテマエだけで生きている人もいないのです。

そして、心の中のこの大人の自分と子どもの自分の関係、すなわち、自分関係は心の健康を考える上で非常に重要な概念だと私は考えています。 
自分の中の大人の自分と子どもの自分が仲の良い人は、精神的に健康です。逆にその仲がうまくいってない人は精神的に不健康で、心にひずみを抱えていることが多いものです。

患者さんは「自分関係」が悪く、自分を嫌ったり責めたりしている人が多いのですが、これをストレスという観点から考えてみましょう。
 
 
例えば周りの人や身近な人に責められたり、馬鹿にされたり、嫌われたりしたらどうでしょう。しかも、それが朝から晩まで年柄年中続くとしたら相当のストレスになると思いませんか?
 
さらに、その身近な人というのが、自分自身だったらどうでしょう? 自分自身ですから、常に一緒にいるわけです。その自分に、一日中、寝ても覚めても嫌われたり責められたりしているとおかしくなって当然ですね。
そのような毎日のストレスを抱えての生活の上で、さらに、何かに失敗したり、他人から非難されたりといった事態になったとしたらどうでしょう。そのストレスは破滅的なものとなり、立ち上がることさえ困難になってしまうでしょう。その結果が病気ということになっても当然です。
 
一方、自分が信頼している人、尊敬している人から味方してもらえ、褒められたり高く評価されたりするとどうでしょう。 嬉しくなります。 自信が湧いてきます。さらに挑戦したくなるでしょう。
 
それを自分自身に当てはめても同じです。どんな時も、自分が自分の味方となり、気持ちをわかってあげると、子供の自分と大人の自分の間に信頼関係が生まれます。その上で、いつも自分のことを尊敬し、褒め称えていく。すると、本来持っている自分の力が存分に引き出せるようになるはずです。
 
以前から感じていたことですが、健康な人、一流と言われる人には皆さん共通項があります。
ユーモアがある、ハメをはずしたり冗談を言ったり遊んだりするのが好き、個性的・独創的・創造的な仕事をする、大胆で物おじしない、マイペース、おおらか、自然体といった傾向があるものです。
これらはみんな子どもの自分の現れといえるでしょう。子どもの自分がのびのびして自分関係の良い人は健康で魅力的な生き方ができているのです。
 
コロナ禍で人との交流も制限され、自分と向き合う時間が増えている今だからこそ、自分と向き合い、魅力的で大満足な自分関係を実現していただければと念願しています。
 
 
 
 

オボクリニック 院長 於保哲外
 
 
 
 
 

 
ご感想ありがとうございます。以下にご紹介します。
*頂いた感想全てを掲載できないことをご了承ください。
 

 
自分で自分を褒めるって私には難しいです。
先生のお話はすんなり聞けても、実際はできません。どうしたらそんなふうになれるのですか?
 


 
於保先生の後半のお話、1週間が待ち遠しかったです。仕事が忙しく、心がなかなか落ち着きません。
自分に向き合い、自分を励まして頑張る自分を褒めてあげたいと思います。

 


 
こんにちは。いつもお世話になっております。
久しぶりに投稿致します。
そして、久しぶりに2時間くらいの長湯しました!
やっぱり、違いますね~♪
余裕が違います。何方がこんな凄い事考えたんだろう~とか思っちゃいました。本当に良かったです。
辛いときには自分に甘~く、やさしく、心も身体も温めれば、全てが良い方向になっていく!
6年前からはじめた、於保先生の自分関係を良くする練習……続けてきて本当に良かったです。
わたしという苗を植えるのに、6年かけて土壌改良も進み、これからも、自身(自信)の根っこを伸びのび~とマイペースではやして生きます~("⌒∇⌒")
まだ挑戦したい療法も有ります。
何だか病気って結構楽しいかも(*^^*)と、わたしの大人の自分と子供の自分が仲良く言ってます❤️
 


 
こんにちは。
いつもメルマガ拝見しています。一話一話為になるお話で、一話一話体に溶け込んでいくのを実感しています。
タイトル背景の写真は院長先生が撮られたのですね。
なんともセンスのある写真なんでしょう。
私はいつもスマートフォンでこのメルマガを拝見しているのですが、思わず大きな画面のパソコンでみてしまいました。これまでの写真も院長先生の撮られたものなのでしょうか?
では来週の後編を楽しみにしています。

 


 
「働からざるもの食うべからず」
人に頼りにされたり感謝されたりするために行動をする時期がありました。
でもしんどくてもうやめです。
自分がどうしたいか、楽しいかを第一に行動し、自分関係を高めたいです。
於保先生のお話で考え方が変わりました!
 


 
この1週間、於保先生のお話をずっと楽しみに待ってました。後編があるんですね。またこれからの1週間をワクワクで過ごせます。