
山梨 梅の木縄文遺跡
5000年前の道
撮影 於保哲外
天につながり、地につながる
2024年6月17日号
院長 於保哲外 先生
今年の6月の初め、山梨県の八ヶ岳の麓、標高800メートルにある梅の木遺跡を訪れました。この遺跡は縄文時代中期、約5000年前の縄文時代の150棟の竪穴住居群の環壕集落跡です。
環壕集落と言うのは、縄文時代の集落の基本の形とのことです。
中央に巨大な木が聳え立ち、その周りを竪穴住居が取り囲む構造になっていたようです。
木は遺跡として残らないので発掘された時には環壕集落の中央部は「遺構のない中央広場」ということになっています。
後世の縄文遺構では巨木の代わりに石が中央に配置され周りにストーンサークルが置かれるようになりますので遺跡として中央が重要だと認識出来ます。
この梅の木遺跡を訪れた時、天にも届くような巨木の周りに150軒の竪穴住居が取り囲んでいる情景を思い描き、感慨ひとしおでした。
この巨木を日常的に目の当たりにする日々は常に天地を感じる実感があったことでしょう。しかもこの地からは富士山が南方に望め、西方には南アルプス、北方には八ヶ岳が聳えているのです。
さらに、この遺跡は全国でも珍しくこの集落から下の川に通じる道の跡が発見されました。
上の写真はその「縄文の道」を再現した道です。5000年の時を経て私達の祖先が歩いていた道を歩くのは感動的でした。
今回の6月22日のセミナーではあらためて、縄文に思いを馳せながら、宇宙的壮大さを生きる実感に迫ってみたいと思います。
於保哲外